肝癌に対する腹腔鏡治療
腹腔鏡下肝臓手術の導入
2012年4月の保険診療改定により腹腔鏡下による肝臓部分切除術および外側区域切除術が保険適応となりました。当院でも施設基準をクリアし、認定されました。
腹腔鏡手術は癌に対する根治性を担保しながら、体に対する負担が小さく(低侵襲)、傷も小さいため(美容的に優れている)、手術後の経過が楽で、入院期間は従来の開腹手術と比較して短くすむことが多いです。
本治療法は1cm程度の傷を5個程度つくります(左記写真を参照)。それぞれの傷より特殊な器具を挿入し、腹腔鏡下に観察しながら手術を行います。肝臓を切除しやすいように周りの状況を調整し、肝臓を切って腫瘍を切除する方法です。
腹腔鏡を挿入して腹腔内を観察し、テレビモニターをみながら手術をしやすいように3から4本の操作用トロッカーを挿入して手術を行います。
≪ 利点 ≫
腹腔鏡で見ることで、狭かったり・小さい部位を大きく見ることで繊細な操作が可能となります。また手術操作が困難な場合や出血が多い場合には、片手を入れるだけの創を作って手術を行います。従来の開腹手術に比べて創を小さくできるため、回復が早く入院期間が短縮され、創の美容効果も高いです。
≪ 欠点 ≫
高度な癒着や、手術既往例、止血が困難な場合は安全を考慮し開腹に移行します。腫瘍の大きさや場所によっては手術が困難となることがあります。
実際の手術写真について
- 超音波にて腫瘍を確認 - |
- マイクロ波による切離線の凝固 - |
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- 切離中 - |
- 切除後 - |
実際の手術写真。モニターを見ながら、切離する部分を大きく拡大して観察し、丁寧に切離していきます。
本治療法を希望される方は気軽に当センターを受診してください。外来で詳しく説明いたします。 腫瘍のできた場所が肝臓の奥の場合、以前に手術を受けている方、心機能が悪い方は当治療法ができない場合もあります。